ZEN-UN-YU

全運輸労働組合

日航907便事故関連


これまでの全運輸の主張

日航907便事故控訴審判決にあたって(声明) (2008411日)NEW !

日航907便事故裁判一審無罪判決に対する控訴について(声明)200647日)
日航907便事故裁判の無罪判決にあたって(談話)(2006320)

日航907便事故航空管制官起訴の問題点(全運輸事故対策委員会による検証結果)パンフ  
朝日新聞「私の視点」掲載記事【PDF 410K2004514日(金)朝刊)
日航907便事故関係者の起訴にあたっての声明2004330日)
IFALPAIFATCA合同プレス発表(日本語訳/原文PDF【132K)(2003513日)
日航907便事故の関係者の書類送検にあたって(談話)200359日)
日航907便事故の事故調査最終報告の発表にあたっての声明2002712日)
日本航空907便、同958便のニアミス事故について(談話)200128日)
日本航空907便ニアミスに関する声明200121日)


控訴審の経過  
控訴審判決
(2008年4月11日)NEW!            控訴審判決への怒りの声!NEW

第6回公判(2008年1月22日)

第5回公判(2007年11月29日)                  組織判決抗議声明!原文 163KBNEW

第4回公判(2007年11月9日)                                                訳文 96KB

第3回公判(2007年10月23日)

第2回公判(2007年9月27日) 

第1回公判(2007年9月4日) 


裁判の経過・公判その他予定


第1審の裁判概要
✈ 第1回公判(2004年9月9日)    ■機関誌全運輸から                            

✈ 第2回公判(2004年10月6日)   ■機関誌全運輸から                                          

✈ 第3回公判(2004年11月1日)   ■機関誌全運輸から                                      

✈ 第4回公判(2004年12月21日)  ■機関誌全運輸から                                

✈ 第5回公判(2005年1月20日)   ■機関誌全運輸から(弁護側冒頭陳述特集 号外)                     

✈ 第6回公判(2005年2月25日)                                            

✈ 第7回公判(2005年3月17日)                                           

✈ 第8回公判(2005年5月13日) 

✈ 第9回公判(2005年6月15日) 

✈ 第10回公判(2005年7月7日) 

✈ 第11回公判(2005年9月1日) 

✈ 第12回公判(2005年10月6日)

✈ 第13回公判(2005年114日) 

✈ 第14回公判(200年1月25日)

✈ 判決公判(20020日) 


-2008.4.11-

東京高裁驚愕の不当判決!

◆ 本日、若干肌寒さの残るなか、日航907便事故裁判控訴審判決公判に先立ち、東京高裁前宣伝行動及び傍聴行動には、190名を超える官民の仲間が全国から集結しました。そして、午後2時半、仲間の激励の拍手の中、2名の管制官と弁護人が入廷しました。

◆ 午後3時、法廷内テレビ撮影の後開廷され、冒頭、須田 ッ(まさる)裁判長は、第一審判決を破棄し、訓練生に対して禁錮1年(執行猶予3年)、訓練監督者に対して禁錮1年6か月(執行猶予3年)という逆転有罪の極めて不当な判決を言い渡しました。

◆ その判決内容は、「原判決(第一審)における判事内容は、公訴事実に対して無罪を言い渡したが、証拠の評価を誤った重大な事実誤認をしている」としたうえで、@被告人両名の907便に対する降下指示と、乗客らの負傷には相当因果関係が認められる、A日航907便の乗客らに負傷という結果が生じる恐れがあるという「因果経過の基本的部分」について予見可能性があった、B日航907便に対して発出した降下指示は、急激な措置を採ることを余儀なくさせることになる可能性が十分ある、実質的に見ても極めて危険な管制指示であって、刑法上の注意義務違反にあたる、というものです。

 

◆ しかし、判決理由が朗読されるにつれ、「最初に有罪ありき」という裁判官の予断と偏見に凝り固まった判決であることが明らかになりました。裁判長は、パイロットの証言は信用できると言う一方で、控訴審で日航907便機長や日航958便機長が「今回のケースにおいては危険と感じない」などと証言したことはまったく無視、証言をつまみ食いして一般論と片付けました。

また、管制官が管制指示を発出するには、パイロットが直ちに行動を起こさないことや、レーダーの表示が最大10秒近く遅れることなど考慮して適切な管制指示を出さなければならないとする一方、数秒というタイミングで状況が変化するTCAS(航空機衝突防止装置)のRA(回避指示)の予見可能性については、「運航票やレーダーで管制官は正確な情報が把握でき予見することができる」と言うなど、矛盾した理由を述べています。さらに、「TCASのRAの回避方向と管制官の適切な回避指示は同じであり予見できる」とするなど、これまでのパイロットを含むすべての証人の証言を完全に否定するとともに、現場実態と全く違う事実を裁判官が作り上げました。

 

◆ 1,000フィートの垂直間隔についても、第一審、第二審をとおして、すべての証人が危険ではないとしているのに、現場をまったく知らない裁判官が、危険と判断する具体的な定義は一切明確にせず、勝手に判定しています。この点については、現在全国の空域に適用されているRVSM(短縮垂直管制間隔)との整合性には、いっさい触れていません。これを見ても、ほんの一部でしかない証拠を評価し、全体があたかもそうであるかのような認定を行っており、言語道断と言えます。

さらに因果関係については、担当官庁である本省管制課の課長補佐が、「TCASのRAが作動すれば管制指示から離脱する」と明確に証言しているにもかかわらず、裁判官はこの証言もまったく無視して管制指示からは離脱しないと結論づけました。

 

◆ これらのことは、第4回公判において裁判長が「求釈明」で検察側の主張を拡大解釈したことと併せて、最初から有罪ありきで公判をすすめ、公判では何一つ立証できなかった検察の主張を、何一つ科学的で明確な理由もなしに、裁判官自らが検察官と裁判官の一人二役をこなして有罪の判決を下すという茶番ともいうべき控訴審の実態を明確にしています。

 

◆ 判決公判終了後には、80名を超える仲間が全日通会館に集まり、判決公判報告集会が行われました。

冒頭、主催者挨拶で熊谷委員長は、「第一審での原判決を否定するとともに弁護団の主張をもことごとく否定した。また、控訴審における検察の主張にも一切触れておらず、上告を前提にたたかう方向である」と発言しました。また、弁護人からは、「第一審で積み上げた証拠を無にする判決であり、裁判官の、言い間違いからけが人が発生した注意義務違反であるという主張は、結論ありき」「裁判官は今回のシステム性事故の複雑な原因には一切触れておらず、今後は判決文を詳細に分析して反論していく」との発言がありました。

加えて、報告集会では、当該の2名の管制官から、これまでの仲間の支援に感謝し、今後も勝利にむけてがんばるとの、力強い発言がありました。

 

◆ 今回の東京高裁の判決は、真の航空事故調査体制の確立を図り、国民の安全・安心を確保する観点から見れば、反国民的判決であり、また、科学的評価を一切せずに控訴審を最初から有罪ありきで進めてきた東京高裁や、無理矢理個人責任を追及する捜査当局の態度は、冤罪が蔓延する現在の日本の司法制度の深刻な問題をも象徴するものです。

 

◆ 今後、全運輸は、裁判に勝利するまで、最後の最後までたたかい続けます。皆さんのご支援を引き続きお願いいたします。

 


-2008.1.22-

907便事故控訴審が結審

弁護側は控訴棄却を明快に主張

◆ 1月22日に開かれた日航907便事故控訴審第6回公判では、弁護側及び検察側の双方による最終弁論が行われました。検察側の最終弁論では、冒頭、2名の管制官を無罪とした第一審判決について、「『無罪』という結論をはじめに決め、その結論を導くための理論を無理矢理後付けした」と批判したうえで、第一審判決の破棄を主張しました。しかし、その内容は、科学的な根拠にもとづくものではないうえに、予見可能性については、「結果発生に至る経過の細部を予見する必要はなく抽象的でもよい」と主張するなど、全体として不可解、かつ新たな主張は何もないというものでした。

◆ 一方、弁護側は、鍛治主任弁護人と藤井弁護人が最終弁論を行い、あらためて2名の管制官の無罪を明確に主張しました。鍛治弁護人は、控訴審における検察側の主張がなんら立証されていないことを指摘したうえで、2名の管制官には、@過失行為がない、A予見可能性がない、B因果関係がない、ことを簡潔明瞭に説明し、控訴は棄却されるべきであると主張しました。また、藤井弁護人は、パワーポイントを用いて、検察側主張が破綻していることを中心に弁論を行いました。

桜とともに無罪判決を必ず!

◆ 双方の弁論が終わった後、須田裁判長から、判決を4月11日午後3時から言い渡すことが明らかにされ、日航907便事故控訴審は結審しました。

◆ 公判後の報告集会では、熊谷委員長が、判決までの間、中央・地方で宣伝行動を強め、満開の桜の下で勝利判決を迎えたいとの挨拶がありました。また、質疑応答をふまえて藏岡副委員長からは、4月の判決でこのたたかいが終わるのではなく、航空労働者に対する不当裁判をなくすために、引き続き官民共同のとりくみが重要であることが強調され、集会参加者全員で確認しました。

◆ 判決日が決まり、907便事故裁判のたたかいは、まさに正念場です。私たちの仲間の雇用と身分を守るため、中央・地方でできる限りのとりくみをやり抜きましょう。

 


-2007.11.29-

検察官の被告人質問に傍聴席からは失笑が

◆ 昨日開かれた第5回公判では、2名の航空管制官に対する被告人質問が行われました。

◆ まず質問に立った検察官は、2名の管制官に対して管制方式基準を資料として示しながら、「管制間隔」「TCAS(航空機衝突防止装置)」「RVSM(短縮垂直間隔)」について、管制官としての当時の認識を問いただしました。これに対する2名の管制官の答弁はいずれもはっきりとした正当なもので、結果的に検察の「管制間隔を少しでも欠けば即危険である」という主張を明確に否定しました。

◆ 質問の中で検察官は、「あなたが急激な回避操作をさせて発生した事故ではないか」とか「間違った指示を出したことについて悔やんでいないのか」といった、感情に無理矢理迫るような理不尽な質問を次々に行うとともに、「TCASのRAは正しい、958便機長の判断も正しい、907便機長の判断も間違っていたとは言えない。であれば、管制官だけが間違ったのだ」と断定した上での乱暴な発言には呆れるほどで、弁護人から異議を唱え、裁判長からも質問を替えるよう指摘されると、傍聴席からは失笑が起こりました。検察官は、自らの主張が論理的でないうえに、ついには感情に訴えるしかできない状況に陥っていると言えます。

◆ 一方、弁護側は、本来3分前に発せられるべきであったコンフリクトアラート(CNF)が2分30秒も遅れて表示された事実を示しながら、当該表示発生後いかに両管制官が907便と958便両機間の管制間隔の確保に努めたかを明らかにしました。

◆ 公判に先立ってとりくまれた宣伝行動には、100名超の仲間が参加し、横倉法廷対策小委員(航空管制支部)、羽田航空支部・山口副支部長、航空安全推進連絡会議・大野副議長の3名から、控訴審勝利にむけて奮闘する決意が述べられました。

次回、いよいよ最終弁論

◆ 今回で証拠調べはほぼ終了し、次回公判では弁護側・検察側双方の弁論が行われます。大詰めを迎える日航907便事故控訴審のたたかい、全運輸だけでなく、航空産別、国公産別などの仲間との共同を強め、控訴棄却・無罪確定にむけて全力で奮闘しましょう。

 


-2007.11.9-

958便機長を証人尋問

検察官の主張をことごとく否定!!

◆ 本日行われた第4回公判では、日航958便機長に対する証人尋問が行われました。

◆ 検察側の主尋問において証人は、「TCAS RA(航空機衝突防止装置の回避指示)があれば管制指示よりRAを優先するが、TCASを搭載していなければ、管制指示違反をして降下はしない」と証言し、検察側の「958便は、管制間隔確保のために自らの判断で降下する。管制官はそれを予見できる」という主張を否定しました。また、「高度差とともにお互いの機体が時間とともに離れていくならば危険とは感じない」とも証言し、管制間隔の欠如が直接、衝突・接触の危険には繋がらないことを改めて明言しました。

尋問の中で、検察官は、ユーロコントロールにおけるTCASディスプレイの不適切な利用事例を引き合いに出し、「管制指示の持つ重大性」を裁判所に印象づけようとしましたが、証人は、TCASディスプレイにおける高度情報や、自機と相手機の位置情報は正確で、有効な装置であることを証言し、この点についても検察側の主張を否定しました。

◆ 一方、証人は弁護側による反対尋問で、「RAが『出るのかどうか』『いつ出るのか』『どんな内容で出るのか』は、パイロットは予想できない。ましてや管制官には全く分かるはずがない」と明確に証言し、検察側の「管制官はRAの発出を予見できる」という主張を崩しました。

◆ 公判の終盤では、裁判所から検察官に対して、公訴事実(起訴状)の内容に関わって「求釈明」が行われました。その内容は、起訴状にある「管制間隔を確保する」とは、@管制間隔を欠けることのないようにすること、A管制間隔がやむなく欠ける場合は回復すること、と解釈するというものです。これに関する裁判長の意図は不明ですが、今後注視する必要があります。

いよいよ大詰めの局面へ

◆ 次回公判では、2人の管制官に対する被告人質問が行われます。いよいよ重要局面に入る日航907便事故控訴審のたたかい、全運輸だけでなく、航空産別、国公産別などの仲間との共同を強め、控訴棄却・無罪確定にむけて全力で奮闘します。引き続きみなさんのご協力をお願いします。

 


-2007.10.23-

日航907便機長への証人尋問行われる

◆ 2007年10月23日、東京高裁にて日航907便事故控訴審第3回公判が行われました。公判に先立って、在京航空支部をはじめ、国公産別や民間航空の仲間など約130名が参加し、高裁前宣伝行動にとりくみました。

◆ 宣伝行動では、熊谷委員長の主催者挨拶の後、航空管制支部・北角書記次長ならびに運輸部門から東北支部・幅さんが宣伝カーの上に立ち、2人の管制官の無罪確定にむけて奮闘する決意が表明されました。また、航空安全会議の中沢議長は、航空安全会議も無罪判決に向けて全力で奮闘する決意を述べました。

◆ 傍聴行動については、傍聴券を求めて約140名が列を作り、東京高裁102号法廷の傍聴席は今回も満席となりました。

検察側の執拗な誤導尋問、しかし不発に終わる

◆ 公判では、日航907便の機長に対する検察側の主尋問と弁護側の反対尋問が行われました。検察側は、「便名を誤った管制官の降下指示は、日航907便の機長を、管制官か衝突回避装置(TCAS)か、どちらの指示に従うか迫られる状況に陥らせた」との主張を証言で裏付けようとしました。しかし、証言台に立った日航907便の機長は、降下を継続したのは管制官の指示に従ったわけではなく、TCASの作動後は、失速や高高度におけるエンジン加速性能への懸念などの理由で、自らの判断で降下を継続したことを明言、検察側の意図した証言は行いませんでした。

◆ また公判の終盤では、裁判長が、両機の高度と位置関係を図示した合意文書について、文書の内容や航空の理解不足に基づく誤解から、「スケールが不正確な合意文書の提出は裁判所として困る」などとコメントする一幕もありました。

そのため、公判後に行われた報告集会において、反対尋問を中心となって行った藤井弁護士は、「検察側の理論を崩し、裁判長の航空に対する理解度や問題意識を掴んで裁判長対策を行うことにより、弁護団の正当性を引き続き主張していく」との今後の方針を報告集会で強調しました。

◆ 次回公判では、日航958便の機長への証人尋問が行われます。全運輸は、民間航空の仲間との共同を強め、無罪確定にむけて全力で奮闘します。引き続きみなさんのご協力をお願いします。

 


-     2007.9.27 -

控訴審での証人尋問始まる

◆ 2007年9月27日、東京高裁にて日航907便事故控訴審第2回公判が行われました。公判に先立って、在京航空支部をはじめ九州航空支部、近畿航空支部の自発的な行動参加者、国公産別や民間航空の仲間など約100名の参加のもと、高裁前宣伝行動にとりくみました。

◆ 宣伝行動では、熊谷委員長の主催者挨拶の後、航空管制支部・小川副支部長ならびに羽田航空支部・川根支部長から、職場実態に触れつつ、2人の管制官の無罪確定にむけて引き続き職場をあげて奮闘する決意が表明されました。また、情勢報告で藏岡副委員長は、検察側の主張に大きな矛盾があることなどを報告し、控訴審に必ず勝利し無罪判決を確定させようと呼びかけました。

◆ 初公判同様、抽選による交付となった傍聴券を求め140名を超える人が列を作り、東京高裁102号法廷の傍聴席は今回も満席となりました。

またか!検察のいい加減な調書作成が明らかに

◆ 今回の公判では、検察側・弁護側双方が申請した、電子航法研究所の職員に対する証人尋問が行われました。証人は、管制間隔の基準設定に関する技術系専門家であり、検察は証人の尋問をつうじて「2000フィートという管制間隔を切れば即危険である」という主張を裏付けようとしましたが、検察側の期待する証言はなされませんでした。

  それどころか、続く弁護側の尋問において、同氏はRVSMの導入条件が当時の事故発生空域でもすでに要件を満たしていたであろうと証言したうえで、検察側が同氏の供述調書を半ば本人の意志に関係なく作成した疑いが明らかになりました。

◆ 第一審に続き控訴審においても、あらかじめ作られたストーリーに沿った調書を作成しようとする検察側の姿勢が明白となり、公判報告集会での、米倉弁護士の「控訴審でも結果は変わらないだろう」という発言に見られるように、無罪確定にむけたたたかいが一歩前進したと言えます。

◆ 次回公判では、907便機長への証人尋問が行われます。全運輸は、民間航空の仲間との共同を強め、無罪確定にむけて全力で奮闘します。引き続きみなさんのご協力をお願いします。

 


-   2007.9.4 -

日航907便事故控訴審始まる

◆ 2007年9月4日、日航907便事故裁判の控訴審が始まりました。これに先立って、第一審での無罪判決を確定させるべく、120名に及ぶ仲間の参加で、昼過ぎから高裁前宣伝行動がとりくまれました。行動では、航空管制支部・小林副支部長、羽田航空支部・岩田書記長から、現場の状況を交えながら控訴審勝利へ職場から支援を強める決意が力強く述べられました。

また宣伝行動終盤には、2人の管制官と弁護団が、行動参加者の拍手と声援をうけ、決意も新たに裁判所へ入っていきました。

傍聴券求め170名が最大結集!

◆ 初公判の行われた東京高裁102号法廷には傍聴席が94席ありますが、今回傍聴券を求めて、これまでをはるかに上回る170名を超える人が列を作り、傍聴は抽選となりました。

◆ 午後1時30分、東京高裁102号法廷で始まった控訴審初公判(須田 ッ裁判長)は、検察側の陳述から始まりました。この陳述において検察側は、今回の控訴理由を約30分にわたって説明しました。しかしその内容は、「巡航機より上昇・降下機の方が高度保持特性において劣るため、上昇・降下機に対してはより慎重な管制間隔の設定が求められる」等、根拠の曖昧な論理や、「パイロットは管制官の指示には絶対に従わなければならない」という一方、「958便(907便とのニアミス相手機)のパイロットは、TCASの降下指示がなくても独自の判断で降下していたであろう」など、自己矛盾ともいえる主張もしています。さらに「接近する両機のパイロットは管制官からの回避指示を期待していた」や、「訓練監督者は訓練生が間違った指示を出すことを把握していた」といった、検察官は関係者の内心まで見通せるかのような勝手な理屈まで展開しました。これら検察官の「妄想」とも言えるストーリーに、傍聴席を埋め尽くした人たちは、一様に唖然とした表情を浮かべていました。

◆ これに対して弁護側は、鍜治主任弁護人が、第一審の無罪判決の妥当性や、検察側の主張に対して、パワーポイントを使用して、わかりやすくかつ論理的に反論しました。

◆ 次回公判では、弁護側・検察側双方が申請した、電子航法研究所職員への証人尋問が行われます。


-   2006.3.20 -

「被告人両名はいずれも無罪」

 

いよいよ判決のとき

320日、早春の晴れ渡る空のもと判決の日を迎えました。判決に先立ち、東京地方裁判所前には2人の管制官の無罪を信じる仲間が結集し、宣伝行動を実施しました。午後1時、裁判所入口に集まった多数の報道関係者の前を、2人の管制官と弁護団が仲間たちの拍手と声援に送られて裁判所に入りました。

 

判決主文「被告人両名はいずれも無罪」

午後130分、安井久治裁判長から判決が言い渡されました。「判決主文、被告人両名はいずれも無罪」・・・一瞬のどよめきの後、報道関係者がせわしなく席を立ち始め、法廷を埋め尽くした傍聴者の表情には一応に安堵の色が浮かびました。その後、読み上げられた判決理由は以下のとおりです。

 

裁判所が無罪と判断した3つの理由

1.検討するに当たっての留意点

検察官は、管制間隔の確保は管制官に課せられた義務であり、その管制間隔を欠如させた2人には過失があると主張してきました。しかし裁判所は、管制方式基準上の義務に違反したことから直ちに業務上過失傷害罪の過失があるとすることは相当ではなく、訓練生の日航907便に対する降下指示が両機の接触・衝突を招く危険性があったかどうか、負傷者を発生させる実質的な危険性のある行為であったかどうか、まず検討する必要があるとしました。

また検察官が、訓練生の便名の言い間違いと、監督者がそれを適切に是正しなかったことに過失があるとした点については、裁判所は、便名を言い間違えて管制指示を行うことは適切ではないが、たとえ間違った指示であっても、その結果異常接近するような事態にはならず、各航空機間に安全な間隔が保たれるのであれば、便名の言い間違いは業務上過失傷害罪における刑法上の注意義務違反にはあたらず、便名の言い間違いを重視することは相当ではなく、管制指示の適否を論ずるべきであるとしました。

 

2.過失行為としての実質的危険性の有無

裁判所は、関係証拠により、もしCNF(レーダー画面上に表示される異常接近警報)が表示された直後に便名を言い間違えずに958便(907便と接近した機)に対して降下を指示していた場合には、両機間には2,000フィート(管制方式基準所定の管制間隔)を確保することができ、便名を言い間違えたことにより管制間隔を確保できなかったことは、不適切な指示であったとしました。

しかし、たとえ間違いの指示であったとしても、両機がともに管制指示に従っていれば、結果的に両機には約1,000フィートの間隔が確保されたものと認められたとした上で、

@ 管制方式基準所定の管制間隔は、ある程度の許容範囲を見込んで設定されている。

A 29,000フィート以上の高度での所定の管制間隔は当時2,000フィートであったが、29,000フィート以下では1,000フィートであり、29,000フィート以上が2,000フィートでなければならない明確な理由は認められない。また、当時でも洋上空域においては1,000フィートと定めている。

B 平成179月から、本件空域においても29,000フィート以上における所定の管制間隔は1,000フィートに縮小された。

C 公判で証言した機長らは、いずれも1,000フィートの高度差があれば危険は感じない旨供述している。

との理由により、管制間隔を欠如させた指示が負傷者を発生させる実質的な危険性のある行為であったとは言えないと結論づけました。

 

3.予見可能性ないし予見義務及び因果関係の有無(異常接近の原因)

裁判所は、異常接近の原因は、TCAS(航空機衝突防止装置)のRA(衝突回避指示)が発せられたことが重要であるとし、管制官は、RAの発出は乗員から無線通信による報告がなければ認識することができず、RAが発せられるであろうことを踏まえて管制指示を行うことは予定されていないとしました。

また裁判所は、国土交通省の航空情報サーキュラーや日本航空のオペレーションズマニュアル等には、管制指示とRA指示が異なった場合の機長がとるべき措置について、事故当時は必ずしも明確にされていなかった点について注目し、907便の機長がRAの指示ではなく管制指示に従って降下したことについて指摘、法廷での907便機長の「RAの上昇指示に反して降下したのは、管制指示や航空機性能等、様々な条件により自ら総合的に判断した」との証言を引用し、機長の判断は管制指示のみによるものとは言えず、また事故当時の航空機性能に関する技術情報の不足などから、機長が上記判断をしたことはやむをえない面もあったとしました。

そのうえで、管制官には異常接近と負傷者発生の予見可能性ないし予見義務はなく、管制指示と結果との間には相当因果関係があったとも言えないとしました。

さらに裁判所は、諸事情を考えると刑事責任を管制官や機長という個人に追及することは相当ではないともしました。

 


-   2006.1.25 -

検察求刑

「訓練監督者禁固1年6月、訓練生禁固1年」

弁護側最終弁論

「両名とも無罪」高らかに主張!

 

今回(第14回)の公判では、午前に東京地検の溝口検事による検察側論告求刑、午後に弁護団長の鍛治弁護士より弁護側最終弁論が行われました。

 

非科学的な検察側主張

10時から約1時間10分間、検察官は論告求刑を行いました。検察官は、業務上過失致傷罪が適用される根拠とする2名の管制官の「注意義務違反」について、「管制間隔の欠如は即接触・衝突につながる」との従来の主張を展開、「管制官は、管制間隔の設定を余裕をもって行うべきで、CNF(レーダー上の異常接近警報)機能を作動させないように業務を行う義務がある」とし、「便名の言い間違い」については、TCASのRA(航空機装備の衝突防止装置による接近回避指示)と管制指示が相反した点について、「RAも管制指示も、航空機同士の接触・衝突を回避し間隔を拡大するものだから、双方の指示が相反すること自体ありえない」「RAの指示と相反する間違った指示を行った被告には重大な過失がある」「TCASのRAの指示内容は、万人でも予測できる」としました。これらの主張は、科学的な根拠や提出された証拠にも合致しない乱暴な「こじつけ」以外のなにものでもありません。

求刑は訓練監督者に対し禁固1年6月、訓練生に対し禁固1年

検察官は、論告の最後に、不当にも訓練生に対しては禁固1年、訓練監督者に対しては禁固1年6ヶ月の求刑を行いました。

 

弁護団、最終弁論で科学的・論理的に検察側の理論を論破

弁護団長の鍛治弁護士は、13時15分より堂々2時間40分に及び、検察側の非科学的な論理を一つ一つ科学的・論理的に、パワーポイントも使用して、わかりやすく論破する最終弁論を行いました。

管制間隔を欠如させた被告人の行為が、刑法上の注意義務違反にあたるかについて検察側は、管制官は方式基準に従わなければならないのだから、両機間の管制間隔を欠如させたことが管制官の注意義務違反にあたるとしました。それに対し鍛治弁護士は、「管制方式基準は安全かつ効率的に航空機を飛行させるための行政上の準拠基準であり、最低限度を定めるものではない。管制官に求められる注意義務は、航空機同士を異常接近させないために必要な管制指示を与えることであり、たとえ言い間違いであっても、両機が訓練生の回避指示通りに飛行すれば最低1000フィートの安全な間隔が両機間に確保されている。また、最低1000フィートの間隔が確保されれば安全であり、2000フィートの垂直間隔を欠如したことが結果発生(57名の負傷者が発生すること)の実質的な危険性を有するわけではない。すなわち管制間隔欠如イコール刑法上の注意義務違反ではない」ことを、RVSM(2000フィートの垂直間隔を1000フィートに短縮する)の運用が実施されていることや、法廷でのパイロットなどの証言をもとに、検察側の理論を論破しました。

被告人に57名の乗客・乗員が負傷するに至る予見性があったかについて検察側は、「TCASの内容は万人に予測可能であり予見可能性があると主張を行い、さらにTCASと衝突回避の管制指示は両機の間隔を拡大する方に機能すべきであるから、正しい管制指示とTCASのRA指示は相反しない」と現場の航空関係者が聞いたら仰天するような論理を展開しました。これに対し鍛治弁護士は、@TCASのRAは、管制指示とは無関係に発出され、RA作動の内容については、パイロットから無線により報告されない限り管制官は知りえず、その内容を予測することは不可能である、A日航958便のパイロットがTCASのRAに従ったことで、管制官の指示からは離脱している、B日航907便の機長がTCASのRAの上昇指示に従わず降下したことは、管制官の指示に従ったわけではなく、高高度での上昇性能や失速への懸念から、機長として上昇は危険と判断して降下したこと等、証言や法令、AICの記載などから被告人に予見性はないことを論理的に証明しました。

被告人の行為に57名の乗客・乗員が負傷するに至る因果関係が認められるかについて検察側は、「日航958便がTCASのRAの降下指示に従って降下したことに対し、訓練生は、日航907便を日航958便に接近させる方向に降下指示を発出したのだから因果関係がある」としました。これに対し鍛治弁護士は、「そもそもTCASのRAが発せられなければ、両機は1000フィートの間隔で交差し、十分な安全性は確保でき何の問題もなく飛行を継続できたはずである。しかし、TCASのRAが発生したことで事態は転換、RAと管制指示など複数の指示に対する優先順位が不明確だったことにより双方が接近するに至った」ことを航空法やAICの規定、OM(オペレーションズマニュアル)を根拠として科学的に証明しました。

さらに事故発生後、再発防止策にかかる航空・鉄道事故調査委員会の勧告は、@CNF機能不備の改善、ATCASの運用方法の改善、B運航乗務員に対する教育訓練であり、管制官の言い間違いを防止せよとの勧告は一切行われていないことから、事故調査委員会も事故原因が管制官の言い間違いにあるとは見ていないと分析しました。

そして、日航907便の機長がTCASのRA指示に相反して降下することを判断して行ったことでこの事故は発生し、この間違った判断を機長にさせた要因@TCAS関連の規程の不備、Aパイロットに対する教育訓練の不備、B高高度における機体性能の正しい情報が伝えられていなかったこと、こそが真の事故原因であり両名は無罪と結論付けました。

最終弁論の最後に、2名の管制官から、「負傷された乗客・乗員の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。公判を通じて自分たちの主張が正しいことが証明され、裁判所が正しい判断をすることを確信している」と意見陳述が行われ14回に及ぶ東京地裁での審理は終了しました。

 

航空事故と刑事捜査

航空事故調査の第一の目的は、真の事故原因の追求と再発防止にあることは言うまでもありません。検察官は、論告で今回の事故で負傷した57名の乗客・乗員は、事実の解明を望んでいると発言しました。まさしくそのとおりであると考えます。しかし検察も含めた捜査当局は、関係者の取り調べに際し、事故発生当初から管制官の言い間違いが事故原因とする筋書きを捏造し、その筋書きに沿って取調べを行い、筋書き通りの証言が得られなければ恫喝も行っていたことが法廷で明らかになりました。こうした捜査当局の態度こそ、真の事故原因究明と再発防止を真っ向から阻害するもので、被害者の気持ちを踏みにじるものです。さらに、科学的・論理的根拠もない非常識な理論であっても、殺人犯を裁くように厳しく2名の管制官を罪に落とそうと捜査や起訴を行う検察の態度は、この国の司法の現状が極めて深刻な冤罪の問題をも内在していることを浮き彫りにしています。

まだ予断は許されない状況です。無罪判決を勝ち取るまで団結して奮闘しましょう。

 


-   2005.11.14 -

裁判官、検察官調書を証拠採用

―第13回公判―

 

公判も今回で13回を数え、証拠調べも終了、裁判はいよいよ大詰めを迎えます。

今回の公判では、弁護側・検察側からそれぞれ請求されていた証拠や意見などについて、裁判所として採択するかどうかの整理が行われました。この法廷手続きは、今後裁判所が判決文を書くにあたり必要な証拠を選択するという重要な局面です。裁判官は弁護側が証拠採用を不同意としていた多くの警察官・検察官調書について、公判での証言と調書内容に相違があると判断、刑事訴訟法にのっとり証拠採用することを決定しました。これは弁護側にとって不利な内容である調書が証拠として認定され、裁判官が閲覧して判断の材料にすることになります。

また一方では、弁護側から請求した証拠についても全部を証拠として認定しており、今後、警察官・検察官調書、弁護側証拠、公判での証言、裁判官による東京管制部の検証(視察)をもとに、3名の裁判官の合議で具体的な判決文が検討されます。

裁判官による証拠採否にかかる決定の後、弁護側から裁判所に対し、被告人供述調書の証拠価値について弁護人意見書を提出しました。意見書の内容は、

@本件については、管制指示とTCASの関係について警察官・検察官が十分な理解や基礎的知識がないまま当該管制官に質問をしており、当初より「間違った管制指示により衝突・接触の危険が生じた」という認識に立って調書を作成していること。

A当該管制官は取り調べで、よりよい管制を行うとするならばどうすべきか、という航空管制官としての義務感や倫理観から検察官の問いに答えていることの点について、裁判所は十分配慮して検察官調書を取り扱うべきであると藤井弁護士より補足説明が行われました。

 

※次回の公判では、いよいよ検察側の論告求刑と弁護側の最終弁論が同日に行われ、結審となります。検察、弁護側、お互いがっぷり四つになったまったく予断を許さない状況ですが、今のところ判決は来年3月中(後半)の見込みです。

 


-   2005.10.6 -

検察の筋書きは・・・

事故後わずか1週間で作られた!

―第12回公判―

 

◆今回の公判では、事故当時レーダー対空席で業務を行っていた訓練生と訓練監督者(被告人2名)に対し質問が行われました。今公判の直前、検察側はこれまで開示を拒んでいた員面調書(警察官が事故後当該者2名を取り調べて作成した調書)を突然開示しました。これは、員面調書の被告人の証言と公判での証言が一貫していないと印象づけ、検察官調書を証拠採用させる意図があります。しかし公判では、証言の一貫性の問題より、事故後わずか1週間後の航空・鉄道事故調査委員会の調査が始まったばかりの時期に、当時のマスコミ報道をもとに、警察官が被告人2名(当時は参考人)を言い間違いを事故原因(現在公判で検察が主張する筋書きと同じ内容)として追及していたことが注目されました。また、航空・鉄道事故調査委員会が事故原因を複合要因としたことや、TCASの運用方法の不備を重大問題として国際民間航空機関に安全勧告を行ったこと等が取り調べでまったく触れられなかったこと、検察官の取り調べと同様、取り調べ前にあらかじめ調書の案文が作成されていたこと等が明らかになりました。これらのことは、警察がマスコミ報道をたよりに、今回の事故原因を管制官による便名の言い間違いと断定しストーリーを作り上げ、その内容に沿うように証言させようとしたことを意味します。さらに調書の内容について訂正を申し出ても、担当警察官は「調書とはそういうものだ」として一切応じない姿勢だったことも明らかとなりました。検察の取り調べも同様に行われており、筋書きどおりに無理矢理証言させ、事件を作り上げようとする捜査当局の不当な姿勢が浮き彫りとなりました。

◆訓練監督者に対する質問では、検察側が過失とする日航907便に対する降下指示について、「管制官としてあり得る指示」と証言。さらに、「両機が管制指示に従えば接触・衝突の可能性はない」とも証言しました。このことは、弁護側が主張する、事故は便名の言い間違いや判断の誤りによって起きたものではないことを裏付けます。また、検察官や警察官による取り調べが、訓練生に対する取り調べと同様、あらかじめ作られたストーリーに沿って行われたことも明らかとなりました。

今公判で被告人質問は終了し、次回は証拠請求の整理と証拠調べが行われる予定です。

 


-   2005.9.1 -

両機が管制指示に従えば、事故は起こらなかった

公判も終盤、いよいよ被告人質問始まる

―第11回公判―

 

◆いよいよ公判も終盤に入り、今回から被告人質問が始まりました。今公判では、事故当時にレーダー席で航空機との交信を行っていた訓練生に対しての質問が行われ、証言では、日航907便(けが人が発生した機)と日航958便(ニアミス相手機)の接近は、CNF(異常接近警報)の作動で始めて認識したことや、認識してから「言い間違い」の日航907便への降下指示に至るまでの心理的な状況などが明らかになりました。また本件では、CNFが本来の作動時期である管制間隔欠如に至る3分前ではなく、2分30秒も遅れて作動しましたが、本来の機能どおり3分前に作動していれば、時間的余裕を持って対処し事故は発生しなかったことや、また事故後、今回のようなケースが発生しないようCNF機能が改善されたことが証言され、CNF機能の不備が原因の大きな一つであるとする弁護側主張を裏付けました。

◆検察側が過失とする「便名の言い間違い」による管制指示については、「当時の状況では、たとえ言い間違いであっても、両機がともに管制指示に従えば事故には至らず、自分としては回避指示を行い責任を果たしている」と証言。また検察官の「TCAS(航空機衝突防止装置)の作動も考慮して管制指示を行うべきではないか」との質問に、「TCASRA(回避指示)発生時にはパイロットは管制指示から離脱してRAに従う」「TCASと管制は全く別に機能しており、TCASの指示を考慮して管制はできない」と証言しました。そして、907便がRAの上昇指示に反して降下したことは、「パイロットの判断によるものと認識している」と証言。本件事故と管制指示との因果関係について、はっきりと否定しました。

◆検面調書(起訴前の検察官による事情聴取の際に証言した事項を記録した文書)については、自ら証言していない内容が多く含まれていることや、内容の訂正や自分の意見を主張しようとすると担当検事が急に声を荒げ、「検察官は予め作られたストーリーに沿って証言を取ろうとしているように思えた」とも証言。これまでの複数の証人から得られた証言と同様、検面調書が、検察官による「作文」であることが改めて明らかとなりました。検察側が検面調書を根拠に有罪を立証しようとしていることから、検面調書の取り扱いも今後の争点になります。

 


-   2005.7.7 -

現役管制官が証言

― 第10回公判 ―

 

◆公判では、事故が発生した東京航空交通管制部の現役管制官に対する証人尋問が行われました。弁護側尋問において証人は、航空交通量増大によりレーダー画面上に表示される航空機情報が頻繁に錯綜し、検察側が過失とする「便名の言い間違い」について、日常の業務において頻繁に経験することを証言するとともに、言い間違いが発生し易いケースについて裁判官に具体的に図を書いて示しました。また事故後、航空・鉄道事故調査委員会が、管制業務実施体制や規程類等、多義にわたって「勧告」「建議」を行い、事故再発防止策が策定されたことも証言、今回の事故原因が、単に起訴された2名の管制官個人のミスだけによるものではないことを裏付けました。

◆公判は午前中で終了し、その後裁判所前で安全会議主催で宣伝行動が行われました。行動には、全運輸の組合員の他、日乗連(日本乗員組合連絡会議)や安全会議(航空安全推進連絡会議)から、多くのパイロットをはじめとする様々な職種の航空労働者が結集、2名の管制官の無罪判決と事故の再発防止を願ってビラまきや宣伝カー上から訴えを行いました。

この地裁前宣伝行動が行われているなか、裁判長や検察官等は、実際に行われている航空管制業務の検分や事故発生時の状況についての「検証」を行うために東京航空交通管制部に向け地裁を出発していきました。

 


-   2005.6.15 -

な・な・なんと! 検察官が・・・

事故調査と刑事捜査の分離を主張?

― 第9回公判 ―

 

◆今公判からは弁護側請求の証人尋問となりますが、尋問に先立ち、弁護側から数点の証拠請求が行われました。そのうち、航空・鉄道事故調査委員会が行った「勧告」と「建議」について、検察側は不同意と主張、その理由を裁判長から問われ検察官は、なんと「事故調査委員会が作成したものは国際民間航空条約第13付属書によって刑事捜査に使用してはならないとされている」と主張。これまで数々の航空事故の刑事訴追に事故調査報告書を証拠等に利用してきた検察が、自らの行為をも「条約違反」とするこの主張に、弁護側は戸惑い、傍聴席は騒然、裁判長も「検察官はどのような主張をされてもいいのですが、本当にそういう理由でいいんですか?」と再度問い掛ける事態となりました。

◆その後、午前中の証人として国土交通省航空局管制課課長補佐官が証言台に立ちました。証言では、RVSM(短縮垂直間隔)、CNF(異常接近警報)、TCAS(航空機衝突防止装置)について、それぞれの導入経緯等が明らかにされ、29000フィート以上の高高度における、2000フィートの管制間隔は根拠がなく、1000フィートあれば危険ではないと明言しました。さらに、TCASについては、RAが出た段階で命令系統は管制官からTCASに移り、管制官の指示は無効であると証言しました。

◆午後は、ボーイング747−400(日航907便と同型機)の機長で、航空安全推進連絡会議の大野則行氏が証言台に立ちました。弁護側の尋問で証人は、管制指示とTCASによる回避指示が相反した場合は、TCASの指示に従うことや、それによれない危険な場合(航空機性能上の問題)は、最終判断は機長が下すと証言しました。また、検察側の反対尋問において、「機長の最終判断に管制指示が影響するのではないか」との問いに、「管制指示は関係ない」と証言しました。

 


-   2005.5.13 -

907便機長、証言台に立つ!

― 第8回公判 ―

◆今公判では、裁判官1名(右陪審)の変更によって、弁護側の「更新弁論」(弁護側の意見を再度主張)がパワーポイントを使用して行われました。その後、けが人が発生した日航907便の機長に対する尋問が、検察側・弁護側双方から行われ、極めて重要な証言が当該機長より述べられました。

◆検察側の尋問では、証人から事故当時の907便の飛行状況が語られました。相手機(日航958便)の飛行機雲の視認から操縦室内の計器での確認、管制官の指示による降下操作開始後のTCASによる上昇指示、両機の接近から回避に至るまでの、一連の状況が詳細に証言されました。

◆その後、弁護側による尋問も行われましたが、双方の尋問で、証人は一貫して、「管制官の907便に対する降下指示は妥当なものであった」と証言。これは、これまでの公判における管制官及びパイロットの証言と一致するもので、「907便に対する降下指示は誤り」とする検察側の主張を退けるものです。また、垂直間隔については「1000フィートの間隔があれば危険は感じない」との証言もあり、弁護側の主張(管制間隔の欠如が即接触・衝突の危険ではない)を裏付けました。さらに、検察側の「今回の事故の原因は何か」との問いに、「様々な要因による複合的なもの。管制官に関しては、過密な空域やCNF(異常接近警報)の不十分な機能。パイロットに関しては、TCASに関する規定類の不備や航空機性能に関する情報不足」と証言しました。

◆TCASの上昇指示に従わず降下を行ったことについては、「相手機を視認していた」、「相手機の動向が予測不可能」、「管制官による降下指示があった」、「降下のための操作をすでに開始していた」、「エンジン性能の問題により十分な上昇が行えない懸念があった」、「失速の危険性があった」、との6つの理由により、「総合的に判断した」と証言しました。そしてその判断は、「管制指示によるものではなく自らの判断であった」ことが証言されました。

◆今回は、裁判官のほかに検察官2名も交代しての公判となり、907便機長に対する尋問は、当初2日間を予定していましたが今回で終了しました。検察側が申請した証人尋問はこれで終了しましたが、これまでの証人はいずれも検察側主張を否定する状況となっています。

◆今後は、弁護側請求の証人に対する尋問が行われます。次回は、国土交通省RVSM(短縮垂直間隔)担当官、ならびにパイロット1名に対する証人尋問です。